~音楽療育・運動療育・スイミング…それぞれを選んだ理由と、やめた理由~
このシリーズでは、発達がゆっくりな息子(現在中学2年生)との12年間の歩みを振り返っています。第1話では「何かが違う」と感じ始めた幼児期の話を、第2話では発達検査を受けて支援が始まるまでの話を書きました。今回の第3話では、そこからどんな習い事やデイサービスを選んできたか、そしてやめることを選んだときのことを正直に話そうと思います。
小学3年生のスケジュールは、月〜土までびっしりでした
突然ですが、いちばん予定が詰まっていた、息子が小学3年生のころの1週間を並べてみます。
- 月:放課後デイサービス(強みを伸ばすタイプ)
- 火:体操教室
- 水:スイミング
- 木:放課後デイサービス(強みを伸ばすタイプ)
- 金:放課後デイサービス(運動療育)
- 土:午前は音楽療育(放課後デイ)、午後はスイミング
- 日:お休み
書き出してみると、自分でも「よくやっていたな……」と思います。息子も、そして私も。
「なんでそんなに詰め込んだの?」と思われるかもしれません。でも、一つひとつにちゃんと理由があったんです。そして、ここまで増えたのも、息子の成長に合わせて少しずつ足したり引いたりしてきた結果でした。衝動や焦りで増やしていったわけじゃなくて、その都度、その都度、「これが必要だ」と思って選んでいました。今回はそれを、順番にお話しさせてください。

体操教室:「体の使い方」が心配だったから
第1話で書いたのですが、息子が年長の時、サッカー教室で「他の子とどこか違う」と感じた場面がありました。走り方がぎこちなかったり、ボールに反応するタイミングが少しズレていたり。体の使い方そのものに不器用さがあるんじゃないかと、ずっと気になっていたんです。
それで年少のころから体操教室に通い始めました。でんぐり返しとか跳び箱とか、そういう「体を思い通りに動かす」練習ができる場です。先生も子どもの個性に合わせてくれる方で、息子も楽しそうに通っていました。月謝は月6,500円ほどで、年会費が約3,000円かかっていました。
体操教室は幼児向けのクラスだったこともあり、小学4年生には自然と終了の流れになりました。
スイミング:発達検査の結果を受けて、「体を動かすこと」を増やしたかった
第2話で書いた市の発達検査。そこで専門の方から「体を動かす機会を意識的に増やしてあげてください」というアドバイスをもらいました。運動は脳の発達にも良い影響があると言われていて、その言葉が背中を押してくれました。
スイミングを選んだのは、「水の中では体が浮くから、陸上より体への負担が少ない」というのと、「一人でできる競技だから、チームプレーが難しい息子でも取り組みやすい」という理由からです。実際、水の中は息子にとって気持ちよかったようで、小学生の間ずっと、嫌がることなく続けてくれました。月謝は月7,000円ほどで、2年目以降は年会費が約3,000円かかりました。

放課後デイサービス①:音楽療育特化型
発達検査を受けた後、放課後デイサービスを探し始めました。「放課後デイサービス」とは、障害のある子どもたちが放課後や長期休みに通える福祉サービスです。
最初に選んだのは、音楽療育に特化したデイでした。理由は大きく2つです。
1つ目は、「音楽」という専門性。息子は音やリズムへの反応が比較的良い子だったので、音楽を通じたコミュニケーションや表現が合うかもしれないと思いました。楽器を使いながら感情を表現したり、リズムに乗って体を動かしたりという活動が豊富な施設でした。
2つ目は、「送迎付き」であること。これ、働く親にとっては本当に大事なポイントです。私は働きながら3人の子どもを育てていますが、毎日の送迎は正直なところ、体力的にも時間的にもかなりきつい。「送迎付きかどうか」は、習い事やデイを選ぶ最初のフィルターになっていました。
放課後デイサービスの利用料は、世帯の所得に応じて月額の自己負担上限が決まっています。我が家の場合は、上限が月4,600円でした。ありがたかったのは、複数のデイを利用しても、代表の事業所がまとめて管理してくれて、合計でも上限の4,600円を超えなかったこと。習い事と比べると、費用の負担はぐっと抑えられました。費用の仕組みについては別記事でまとめます。
放課後デイサービス②:運動療育特化型
小学3年生の5月から、運動療育に特化したデイにも通い始めました。
体操教室でも取り組んでいた「体の使い方」の問題ですが、年齢が上がるにつれて、より専門的なアプローチが必要だと感じるようになりました。運動療育デイでは、体幹を鍛えるトレーニングや、体の各部位を協調させて動かす練習など、理学療法や作業療法の考え方に基づいたプログラムが組まれていました。
「体操教室でやっていることと似てるんじゃないの?」と思われるかもしれません。体操教室が「楽しく体を動かす場」だとすると、運動療育デイは「苦手な動きを丁寧に分解して練習する場」という感じで、目的が少し違いました。そして、こちらも送迎付きだったことが大きかったです。
英語教室:とにかく「早めに始めておいたほうがいいかな」と思って
英語教室に関しては、正直なところ、今のような明確な理由があったわけではありません。「小さいうちから英語に慣れさせておいたほうがいい」という、あのころ広く言われていた考え方に乗ったところがあります。しかしながら、色々と発達に気になるところがあったため、少しでも小学校に行ったときに困らないようにという思いがありました。月謝は月6,500円ほどでした。
これは後から振り返ると、「息子に本当に必要だったか?」という問いに、自信をもってYESと言えない習い事でした。しかしながら中学2年生の現在、公文で英語に取り組んでいますが、進度が一番早いのは英語です。
3年生で、英語教室をやめました。子どもの「負担」という言葉を信じて
3年生になったころ、英語教室をやめる決断をしました。きっかけは、息子が英語教室の宿題に取り組むのを、だんだん嫌がるようになったことです。
下の子たちが遊んでいるそばで宿題に向かうのは、息子にはとても難しい環境でした。そして正直なところ、私自身にも、つきっきりで見てあげる余裕がありませんでした。
息子は自分の気持ちを言葉にするのが難しいことが多いので、「もうやりたくない」という言葉がどれだけのエネルギーを使って絞り出されたかを思うと、今でも胸が痛くなります。
「もったいない」という気持ちは正直ありました。ここまで続けてきたのに、もう少し頑張れば慣れるんじゃないか、と。でも、「子どもが負担だと言ったら、やめていい」と思うことにしました。習い事は子どものためにやっているもの。子どもが消耗するためにあるわけじゃない。
英語教室を退会したとき、息子の表情が少し楽になりました。それを見て、「やめて正解だった」と思いました。

やめるのは逃げじゃない。子どもを守る、立派な決断でした。
体操教室も、4年生になる前に、幼児向けのクラスの区切りとして自然に終了しました。こちらは息子も「卒業」という感じで受け止めていたようで、特に抵抗はありませんでした。
宿題の悩みを救ってくれた、余暇重視のデイへ
英語教室はやめましたが、「家で学校の宿題に取り組むのが難しい」という悩みそのものは残っていました。そんなとき、市役所の方が教えてくれたのが、それまでとは少し違うタイプの放課後デイです。小学3年生の5月から、ここに通い始めました。
そのデイがいいなと思ったのは、子どもの「強み」と「弱み」に着目して、弱みを責めるのではなく、強みを伸ばしてあげよう、という考え方だったからです。その姿勢が、私はとても気に入りました。また、友達関係が乏しい彼にとって交友関係が広がればという思いもありました。
過ごし方も、息子に合っていました。まず宿題をする時間をしっかり確保してくれて、そのあとにデイのイベントに取り組む、という流れです。おかげで、家に帰ってきてからは、私は音読を聞いてあげるくらいで済みました。下の子たちのお世話もある中で、これは本当に助かったのを覚えています。
このデイは、勉強の面だけでなく、社会の中で楽しく過ごす力や、友だちとの関わり方を育んでくれる場所でもありました。「できないことを克服する」というより、「その子らしく、豊かに過ごす力をつける」。人間関係が少しずつ複雑になってくる時期に、ぴったりの場所でした。

こうして「月〜土フル稼働」に。私は敏腕秘書でした
英語教室をやめて少し余白ができた……と思ったのもつかの間。運動療育のデイと、余暇重視のデイが加わって、気づけば月曜から土曜までびっしり。スケジュールが本当の意味で「フル稼働」になったのは、ちょうどこの3年生のころでした。
その代わり、私はまるで敏腕秘書のようでした。息子の学校の予定、自分の仕事の予定、下の子たちの園の予定、夫の予定、そして通院の予定。それらを毎週パズルのように組み合わせて、なんとか回していたんです。

今振り返ると、よく回してたなぁ……と自分でも思います。
一つひとつに理由はありました。こなすのは大変でしたが、正直に言うと、デイに通わせることで私自身の気持ちにゆとりが持てた、というのも大きかったんです。下の子たちのお世話もありますし、特に土曜日は3人が揃うとケンカが絶えなくて。そんな中で、息子が安心して過ごせる場所があるのは、家族みんなにとってありがたいことでした。
そして息子は、いたって真面目な性格。どの場所でも、自分なりの楽しみを見つけて過ごしてくれていました。その姿が、私の原動力でもありました。
もちろん、ずっと同じペースで走り続けたわけではありません。時折「今日は休みたい」と、土曜日にぽつりと漏らすようになった時期がありました。そういうサインが出てきたときは、本人とよく話して、気持ちを聞くようにしていました。そして音楽療育のデイは、4年生になるタイミングでやめることにしました。本人の「少し休みたい」という声を、大事にしたかったからです。
振り返って思うこと:全部が正解じゃなくてよかった
12年を振り返ると、「これはやっておいてよかった」と心から思える習い事もあれば、「これはどうだったかな」と思うものもあります。でも、どれもその時の私が、理由を持って選んだものでした。
でも、その時その時の私は、できる限りの情報を集めて、息子のことを考えて選んでいました。完璧な選択じゃなかったかもしれないけれど、それが精一杯だった。
今、同じように悩んでいる親御さんに伝えたいのは、「習い事は量よりも、その子に合っているかどうか」ということ。そしてもう一つ、子どもが「休みたい」「行きたくない」というサインを出してきたら、そのときは本人とよく相談して、気持ちを尊重して調整してあげてほしい、ということです。子どもは子どもなりに、自分の心地よいペースをちゃんと教えてくれます。その声に耳を傾けてあげれば、掛け持ちの数にこだわらなくても、その子にとって豊かな時間になるはずです。
そして、子どもが「負担だ」「行きたくない」と言ったときは、その言葉をちゃんと受け取ってほしいと思います。やめることは、逃げることじゃない。子どもを守るための立派な判断です。
次の第4話では……
次回の第4話では、学習面の話をします。「こどもちゃれんじ」から始まった家庭学習が、どうして公文に移っていったのか。発達がゆっくりな子にとって、どんな学習スタイルが合っていたのか。そのあたりをくわしく書いていきます。
よかったら引き続き読んでいただけると嬉しいです。

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